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オフショア開発の契約ポイント

オフショア開発の契約形態、ラボ型(準委任)と請負(委託)を比較解説。メリット・デメリット、適したプロジェクト例、法務面の注意点、ラボ型を選ぶ理由、成功の秘訣まで網羅的に紹介します。

更新日:2025/09/17

オフショア開発の契約ポイント

このページでは、オフショア開発における契約時の重要ポイントについて詳しく解説します。適切な契約を結ぶことで、リスクを最小限に抑え、プロジェクトの成功を確実にすることができます。契約時の注意点や法務面の重要事項について、具体的な事例とともに説明します。

目次

1. オフショア開発の契約形態とは

この章では、オフショア開発における代表的な契約形態「ラボ型契約(準委任)」と「請負契約(委託)」について概要を解説します。

1-1 ラボ型契約とは

ラボ型契約とは、一定期間、専任のチームやエンジニアを確保する契約です。報酬は労働時間ベース(人月単価)で算出され、柔軟に仕様変更や追加開発に対応できる点が特長です。長期的にシステムを改善し続けたいケース、スタートアップのMVP開発などに向いています。

1-2 請負契約とは

請負契約は「成果物の納品」を目的とする契約で、開始時に詳細な仕様と納期を決定します。見積りが明確になりやすく、短期・単発の開発や要件が固まっているプロジェクトに向きます。ただし途中の仕様変更には追加費用が発生する点に注意が必要です。

2. ラボ型契約(準委任)の特徴

この章ではラボ型契約の詳細な特性と、どのようなプロジェクトに適しているかを掘り下げます。

2-1 ラボ型が向いているケース

ラボ型は以下のような場面で効果的です:
・市場の変化に応じて仕様を変えるSaaSサービス
・新規事業のPoC(実証実験)やMVP開発
・長期的な運用・保守を前提とした基幹システム開発
・大企業の複雑なシステム刷新
こうしたケースでは、仕様変更や追加開発が避けられないため、柔軟に対応できるラボ型が有利です。

2-2 ラボ型のメリット

主なメリットは以下の通りです。
・仕様変更に柔軟に対応可能
・長期的に人材を確保でき、ノウハウを蓄積できる
・エンジニアを固定化できるため、品質の一貫性が高い
特にベトナムオフショア開発では、比較的低コストで優秀な人材を継続的に確保できる点が大きな魅力です。

2-3 ラボ型のデメリット

一方で、管理負担が大きくなる点が課題です。発注側のマネジメント能力が低いと、成果が不明確になりやすく、コストが膨らむリスクもあります。そのため日本側にプロジェクト管理者を置くことが推奨されます。

3. 請負契約(委託)の特徴

この章では請負契約の利点と注意点を整理します。

3-1 請負が向いているケース

請負契約は以下のようなケースに向きます:
・明確な仕様と納期がある短期プロジェクト
・特定機能の追加や改修など限定的な開発
・限られた予算で成果物を確実に納品してほしい場合
こうしたプロジェクトは請負型が効率的です。

3-2 請負のメリット

請負契約の主なメリットは以下です:
・見積もりと納期が明確で予算管理が容易
・成果物品質を契約により担保できる
・短期的な開発に効率的

3-3 請負のデメリット

ただし、仕様変更が生じると追加費用が発生するため、柔軟性には欠けます。また要件定義の精度が低いとトラブルに直結します。

4. ラボ型と請負のメリット・デメリット比較

この章では両契約を比較表で整理します。

項目ラボ型契約請負契約
契約目的労働力の提供成果物の納品
柔軟性高い(仕様変更に対応可能)低い(仕様変更に弱い)
コスト変動しやすい見積りで確定しやすい
ノウハウ蓄積発注側に残りやすいベンダー側に残りやすい
適した案件長期開発、変動が多い案件短期、要件が固まった案件

5. 契約時に盛り込むべき法務上の必須条項

この章では、契約書に必ず明記すべき項目を整理します。

5-1 契約書に入れるべき基本項目

・成果物の範囲と定義
・納期と検収基準
・支払い条件
・変更管理(Change Request)手順
・知的財産権の帰属
・機密保持条項(NDA)
・紛争解決手段(準拠法、裁判管轄)

5-2 知的財産権とセキュリティ

ソースコードや設計書の権利帰属を明記し、必要なら「支払い完了後に譲渡」といった条件を付けることが望ましいです。また、個人情報や顧客データを扱う場合は、暗号化やアクセス制限などセキュリティ条項を契約に含めることが重要です。

6. 実務で起きやすいトラブルとその回避策

この章では、実際によくあるトラブル事例と防止策を解説します。

6-1 認識のズレ

要件を曖昧に共有した結果、完成品が期待と違うことがあります。防止策として、要件をワイヤーフレームやユーザーストーリーで可視化し、双方で承認を取ることが有効です。

6-2 追加費用

契約で範囲が曖昧な場合、追加費用が請求されることがあります。Change Requestのフローを契約に盛り込むことで、無用な対立を防げます。

6-3 納期遅延

納期を守れないケースも発生します。これを防ぐには、マイルストーンごとに検収・支払を設定することが有効です。

7. ベトナムオフショア開発の契約上の特性

この章では、ベトナムで契約を結ぶ際の特有の注意点を解説します。

7-1 ベトナムが選ばれる理由

ベトナムは若いIT人材が豊富で、エンジニア単価は日本の半分以下に抑えられます【出典:オフショア開発.com(2025)】。また、日本語教育や日系企業との協業経験も多く、文化的な親和性が高い点が強みです。

7-2 ベトナム契約特有の注意点

知財譲渡や労務契約に関して、日本と異なる商慣習があります。契約書は必ず日越両言語で用意し、現地の弁護士チェックを入れることが望ましいです。

8. 費用相場とコストシミュレーション

この章では、国内開発とベトナムオフショアの費用感を比較します。

8-1 国内 vs ベトナムの費用比較

国内エンジニア単価:月80〜120万円
ベトナムエンジニア単価:月35〜45万円
例えば5名×6か月のプロジェクトなら、国内約3,000万円、ベトナムなら約1,500万円に収まります。

9. 契約チェックリスト

最後に、契約締結時に必ず確認すべき項目をリスト化します。

  • 成果物範囲と検収基準の明記
  • 納期とマイルストーンの設定
  • 追加仕様時の費用算出ルール
  • 知的財産権の帰属
  • 機密保持とセキュリティ条項
  • 準拠法と紛争解決手段

まとめ

オフショア開発を成功させるには、契約形態を正しく理解し、自社に最適な方式を選ぶことが重要です。ラボ型は柔軟性、請負は明確性に強みがあります。特にベトナムオフショア開発はコストと人材のバランスで優位性が高く、契約をしっかり整備することでリスクを最小化できます。HEROESでは「契約は日本法人、実務はベトナム拠点」という体制で伴走支援を行っており、初めてのオフショアでも安心して進められます。

■この記事のポイント

  • ラボ型と請負は特性が異なり、案件に応じた選択が重要
  • 契約書には成果物範囲・検収基準・知財・機密を必ず明記
  • 追加費用対策にはChange Requestの明文化が有効
  • ベトナムはコストと文化親和性の両面で強みを持つ
  • 契約設計と体制構築がオフショア成功の鍵

参考文献